# シリコン印刷を失敗させないUV硬化インクの選び方【密着性・硬化速度・5つの確認ポイント】

# UV硬化インクの選び方:シリコンとの相性を見極める化学的アプローチ

## ポイント1:シリコン印刷における基本的な相性の考え方

シリコン印刷を成功させるために最も重要なのは、UV硬化インクがシリコン素材の表面にどのように反応するかを理解することです。

シリコンは表面が非常に滑らかで、化学的に不活性な性質を持っています。つまり、通常のインクが紙や布に吸収されるような形での定着が期待できません。ここが多くの初心者が失敗する要因となります。

UV硬化インク※1を選ぶ際には、「密着性促進剤」という添加物が含まれているかを確認してください。この成分がシリコン表面との相性を劇的に改善します。実は、同じUV硬化インクでも、製造メーカーによって密着性促進剤の配合量に大きな差があるのです。

シリコン印刷用として販売されているUV硬化インクを選ぶことが最短ルートですが、その際は「シリコン対応」という表記だけでなく、実際のサンプル確認をお勧めします。ノベルティー制作を委託する場合でも、製作業者に対してシリコン素材への密着性テスト済みか否かを明確に質問することが重要です。

## ポイント2:硬化メカニズムの理解が鍵を握る

UV硬化インクの硬化プロセスを簡潔に説明します。紫外線が当たると、インク内の光開始剤※2という物質が反応し、分子同士が結合して固体化します。この過程がシリコンとの相性にどう影響するかが重要です。

シリコン表面は水分や油分をはじく特性があります。そのため、硬化速度が遅いインクを選ぶと、硬化前に流れたり、ムラが生じたりするリスクがあります。逆に、硬化速度が速すぎるインクも問題です。硬化が急速過ぎると、シリコン表面との十分な結合を経ずに表面だけが固まり、爪で簡単に剥がれる状態になってしまいます。

この「最適な硬化速度」を見極めることが、シリコン印刷の成功を左右します。一般的に、シリコン対応のUV硬化インクは通常製品よりも硬化時間が長めに調整されています。

ノベルティー制作委託先を評価する際は、同じシリコン素材を使った過去の実例をいくつか見せてもらい、数ヶ月経過後のインクの定着状況を確認することをお勧めします。

## ポイント3:インク選定時の実践的なチェックリスト

シリコン印刷用のUV硬化インクを選ぶ際、以下の5つのポイントを確認してください。

まず「シリコン対応」という明記があるか。次に、インクのpH値※3が中性~弱アルカリ性であるか確認します。強い酸性やアルカリ性のインクはシリコンの劣化を招く場合があります。

三番目は「硬度レベル」です。インク製造元の硬度データシートを見て、硬度が6H以上の製品を選ぶと、一般的な使用では剥がれにくくなります。

四番目に重要なのが「耐候性※4」です。屋外で使用するノベルティーなら、紫外線による変色や劣化に強い処方のものを選びましょう。

最後に、実際の運用シーンを想定したテストプリントを依頼することです。小ロットでも構いませんので、実際のシリコン製品にテスト印刷してから本製作を開始することで、後戻りを防げます。

物販やノベルティー制作では、仕入れ段階での失敗が大きなコスト負担になります。グレードの高いサプライヤーを選ぶことで、結果的に総コストを削減できる場合も多いのです。

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※1 UV硬化インク:紫外線を照射することで液体から固体に変わるインク。通常のインクより速乾性が高く、耐久性に優れています。

※2 光開始剤:紫外線エネルギーを吸収して化学反応を開始させる物質。インクの硬化速度を左右する重要な成分です。

※3 pH値:物質の酸性・アルカリ性を示す指標。7が中性、7未満が酸性、7以上がアルカリ性です。

※4 耐候性:日光や雨、気温変化などの自然環境による劣化に対する抵抗力。